「危機と人類」を読んで

ジャレド・ダイアモンドの本は一冊も読んだことがありませんでした。
7、8年くらい前にほぼ日で糸井重里さんと対談しているのを興味深く読んだにもかかわらず…
以前から読まなきゃなぁと思いながら読んでいませんでしたが、ついに読みました!

ジャレド・ダイアモンドとはどんな人なのかを例によってWikipediaからちょっとだけ抜粋します。

1937年、ボストンでベッサラビア出身のユダヤ系の両親の間に生まれる。

ハラリもそうですが、この人もユダヤ系です。

1958年にハーバード大学で生物学の学士号を取得後、1961年にケンブリッジ大学で生理学の博士号を取得した。

この時点でもう…

その後、生理学者として分子生理学の研究を続けながら、平行して進化生物学・生物地理学の研究も進め、特に鳥類に興味を持ち、ニューギニアなどでのフィールドワークを行なった。そこでニューギニアの人々との交流から人類の発展について興味を持ち、その研究の成果の一部が『銃・病原菌・鉄』として結実した。

『銃・病原菌・鉄』を読む前に今回の本を読んじゃいましたが、遡って読まねばです!

この本のテーマはタイトルの通り「危機」についてです。
「危機」とは主に国家的な危機に関してですが、個人的な危機との対比から話し始めるところがとても分かり易いです。

解雇であったり離別であったり事故であったり、個人的な「危機」的状況は様々あります。
それらの「危機」を人は乗り越えなければなりません。
それぞれの方法で人はそれらを乗り越えます。

国家においても様々な「危機」的な状況を潜り抜けてきた事例がいくつもあります。
著者のジャレド・ダイアモンド自身が関わりのある7つの国家のケースを用いて具体的に細かく検証していきます。

フィンランド、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、日本、アメリカのそれぞれの「危機」を見ていく過程で「あっ!そうだったのかー」という事実がいくつもありました。

例えば、フィンランドに関してはムーミンとマリメッコとおしゃれな家具くらいのイメージしかありませんでしたが、歴史的にはなかなかしんどい時期があったようです。

或いはオーストラリアに関しても、イギリスの囚人の流刑地くらいの認識でしたが実はよく知らないことはあるものです。

それぞれの国々にはそれぞれの歴史があり危機があり、それらを乗り越えた上での現在があります。
当たり前といえば当たり前ですが、改めて考えてみると実にそれぞれが尊い営みであることに気付かされます。

歴史って何のために学ぶんだっけ?という根本的な問いに関して考えるには打ってつけの本だと思いました。

ある程度の歴史の知識があった上で読むべきかとは思いますが、そうでなくても十分に分かり易く書かれた本です。