村上春樹をめぐる思い出

高校一年の時に同級生の村田君が『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』を持っていて、初めて「村上春樹を読んでみようかな?」と思ったのです。

それ以前は『ノルウェイの森』の印象が強過ぎて敬遠していました。

「なんだか流行りもの臭くねぇか?」

村田君はクラス中で一番勉強を熱心にしてる人で「東大のラグビー部を俺が強くする」と言い張っているかなり突き抜けた男でした。

実際に後に東大に合格し、ラグビー部はどうだったか知りませんが彼自身はサンヨーのラグビーチームに入っていました。

東大の大学院卒では史上初だったと伝え聞いています。

そんなイカした村田君が読んでいる村上春樹に興味を持ったのでした。

まぁ、我ながら単純な男子高校生です。

そもそもなぜそれを読んでいるのかを訊ねたところ、彼が通っていた塾の先生がその本を勧めてくれたとの事だったと記憶しています。

そんな感じで自分も真似して読んでみたところ、まんまとその世界にハマっていくことになりました。

とにかく文体が心地よかったことを覚えています。

今まで読んできた中で一番しっくりくるものは村上春樹作品です。

単純に文章が上手いんだと思います。

そんなこんなで新しいものが出る度に何も考えずに買って読んできましたが、今のところがっかりさせられたことはありません。

5年前に大磯で塾を開こうと思った理由の一つに、そのうちばったりお会いできるのでは?という淡い期待も無きにしも非ずでした。(今のところお見かけした事すらありませんが)

早い話が村上春樹のファンな訳ですが、ついに待望の新作が明日発売なのです!

74歳のお年であることを考えると長編は『騎士団長殺し』が最後かなぁと思っていましたから、嬉しすぎるサプライズなのでした。

数か月前に新潮社からお知らせのメールが届いており、新作が4月に出ることを知って以来密かに待っておりました。

早く読みたいけれど、読み終わったらそれはそれで「終わっちゃったなぁ」となるのです。

こんな思いにさせてくれる村上春樹という人は凄いですね。

あー楽しみだ!