「面接シート」に悩む

こんにちは!ヨメです。中3生は、学校の夏休みの宿題に高校入試に向けた「面接シート」を記入するというのがあります。

「なぜうちの高校を志望したのか?」「中学校時代に一生懸命取り組んだものは何か?」「自分の良いところは?」みたいなやつです。

多くの子が頭を悩ませています。

先日、ある中3生から、公立の志望校がまだ絞れておらず、面接シートが書けない。と聞きました。

大人になって、ずる賢く、要領よくなると、いわゆる模範解答っぽいものを、それなりに(適当に)書いて、期限までに提出すれば良いさ。と思ってしまうのですが(私だからかな??)、中学生は素直です。

「適当に」「とりあえず」なんてのが、うまく出来ないんですよね。

その生徒にあれこれ質問をしている内に志望校にしている学校には「先輩らが通っていて、良い学校と言っていた」ことが判明。「なんとなく行きたい」と思っていた理由は、どうもそこだったようです。

質問に答えているうちに、これまでよく分からなかったものが、はっきり見えてくるものがありますね。

そして、意外にもすでに「入社したい会社がある」と!これにはビックリでした。話はしてみるものです。

その生徒が言うには「でも大手企業で優秀な大学の人しか採用されていないって、前の塾で言われました(その子は転塾してきました)。だから、優秀な大学に入らないといけないんだけど。。そんなのは無理だから」と。

私は、今の時代、大学名だけで内定を決めている企業はほとんどないと思っているので、「そんなことはないだろう」とネットで検索すると、やはり、まったく聞いたことがない大学出身者も毎年採用されていました。

その子に伝えると、「なんだ~!騙されてた!」(笑)。騙すつもりはないのだけどね。

誘導するために、都合の良い情報だけを開示することは、割と使われる手口なのかもしれません。

大人だけでなく、子どもが「みんな持ってるから買って!!」というのも、実はみんな持ってなんていなくても、「買ってもらう」を成し遂げるために「都合が良いことだけ」親に伝えているわけで(笑)。

「優秀な大学の人しか採用されていない」というのは、その子に「もっと勉強をして、優秀な大学に入るためには、優秀な高校に行かないと、確率的に厳しいから、今から一生懸命勉強しなさいよ」のメッセージなんでしょう。

そこを、子どもは素直だから「じゃあ、自分には無理なのか」って思ってしまうこともあります。

かつては私も「上位大学出身者は、そうではない出身者と年収で何倍も違う」という話を子どもにしたことがあります。実際、平均するとそうなのかもしれません。

子ども達は「学校を目指す」と言っても、行ったこともない高校に対して、入りたい部活があるとか、好きな先輩がいるとか、特別な理由がないと、動機付けが難しい。

それならば、子ども達が魅力を感じている、そして身近である「お金」を動機付けにしたら良いかもと思っていました。

実際、算数にしても、お金に置き換えた途端、問題が解ける生徒は多く、お金とは子ども達にとって魅力的で身近な物。自分事に落とし込みやすいのでしょう。

だけれど、コロナ禍を経験し、自分がこの場所で塾をやっている内に、ちょっと、それは違うんではないかな?と思うようになりました。

「お金がある」=「幸せ」ではないし、上位校に入れれば安泰でもない。どこかの会社に入る(雇われる)のが当たり前ではなく、今や起業家も多くいます。学生のうちから会社を興す人もいるくらいです。

確率論的には、上位校に入ることが、いわゆる大手企業へ入るために、役に立つかもしれない。
だけれど、大学で様々な経験をし、人をまとめる力、提案力、情報分析力、問題解決力、コミュニケーション力などがある人を企業は採用したいはずです。求められるものは、部署や仕事内容によっても違うだろうし。

しかし、これも、あくまで私の考え。私は大手人事経験もないので、子どもに伝える際は「私はこう思うけれど、必ずしもそうとも限らない。これが正解、これが最短ルートなんてない。ただ、興味を持って経験したり、頑張ったりすることは、きっと大人になっても、役に立つ」と言っています。

とても良い時代なのではないかな。だって、出身大学で先が確定していたり、年齢で給料が決まったりしていたら、それこそチャレンジしよう!ってなかなか踏み切れないですからね。

多様性の時代、バンザイです。と思いませんか?